報告
やっとこさ東京のリズムにも
体が馴染みはじめている。
言葉はヘタクソだけども、
この旅で得たことを残しておこうと思う。
「走行距離 1580kmの旅」
僕には岩手に灯台のような場所が二つある。
その場に今年も行けたことが、
そのまま僕が少し成長出来た証になってくれる。
友人が出来たことで被災地が友人の住む土地へ変わり、
今年はこの地へ遊びに来ることが出来た。
届けると約束した大きな作品と昨年描いた45枚のスケッチの原画、
そしてI.Wハーパーのウイスキーを脇に抱えて。
旅の始まりもアクシデントだらけで、
仕事終わりで疲れていたせいか、
東京を出る前にビーサンで石に躓き
右足親指の爪を割る。
コツコツと旅のために貯めてきた資金で
最初に買ったのはマキロンとバンソコウになってしまった。
運転中も血が止まらないので、テッシュとマスキングテープで
グルグル巻きにしてペダルを踏む。
お金に余裕があるわけもなく
今年も下道で、ながい旅が始まった。
来年こそは高速道路を使える男になろうと思う。
真夜中に去年とは違うルートで45号線に入った。
やはり深夜にこの道を進むのは気が引ける
ダイダラボッチが出てきそうな深く濃い闇に怖じけて
朝を待つことにした。
こちらでの朝焼けは本当に綺麗だ
朝日を見ながら45号線を走る
浜辺に積み上がっていたガレキが片付いていた
浜辺いっぱいに3階建ての高さはあったガレキの山が
なくなっていることに本当に驚く。
辺りを真っ赤に染めながら登る朝日が
東京よりも大きく強く感じた。
宝来館に辿り着き、
去年と同じく石碑に触れ避難路を登る
去年と違い知っているというコトの意味を感じる。
宝来館までの道もきれいに整地され、
見た目にはガレキがなくなりキレイなのだが
何故だか寂しさが込み上げる。
台形の土山が何だかお墓のように思えてしまった。
宝来館では、僕をすぐに笑顔で迎えてくれた。
会いたい人達がいて、
同じように喜んでくれるコトは本当に素晴らしい。
ここに来るのに1年以上もかかってしまったけど、
約束どおり描いた絵達を納品出来た。
この絵があるべき場所に
僕のワガママで受け入れてもらえたこと
会いたい人がいて、行きたい場所があって、
そしてそこに自分の絵が飾ってある
今日はなんて幸せな日なのだろう
もう1つの約束を抱えてAPEを訪ねる
その人は去年と変わらず僕を受け入れてくれる
ハーパーを飲みながら
自分の一年と友達の一年を交換する
吉里吉里の土地に新しい道路の着工が決まり
この場所がなくなってしまう
場を作ることの大変さをこの一年間の間に
沢山の方に学ばせてもらえたお陰で
色々な気持ちが溢れた夜だった
さすがにウイスキーを飲み干すと
ロレツが回らなくなり
互いの車で眠りについた
朝起きると友達の両親がお店を開いていて
去年と同じようにオジさんが焙煎したコーヒー豆を
オバさんがいれてくれた。
台湾にも好きなコーヒーを入れてくれるお店が出来たが
日本で一番好きなのは、
やっぱりこの二人が作ったコーヒーだ
去年描いたスケッチの場所を巡りに行く
ほとんどの場所に描いた建物はなく
目を凝らして見比べないとどこを描いたのか
まったくわからない。
東京もきっと凄く変化が多い街なのだが
ここは信じられないスピードで色々なコトが進んでいる
この変化の中を生きている友人達を本当に尊敬する
旅の終わりが近づき、
お世話になった人達の作ってくれた
おにぎりを片手に「行ってきます」と伝え
「行ってらっしゃい」と見送ってもらった
車の中で込み上げる気持ちの分だけ
僕には居場所が出来たのだと思う
颯爽と東京に向かう予定だったのが
気仙沼で見事に車が動かなくなり
感動的な別れの4時間後に
友達に迎えにきてもらった。
「今回はずいぶん早く帰ってきたね。」
こんな会話が出来るのも本当に幸せだ。
色々な方々に大変なご迷惑をかけてしまったけど、
車が故障したお陰で、また新たな出会いがあった。
来年もまたこの場所に来よう
高速道路に乗れる男になれるかはわらないけども、
朝まで語り明かせるだけの経験を持って。
先に楽しみがあるのは本当にハッピーだ。
空へ
http://kezoku.exblog.jp/16533162/
45枚のスケッチ
http://kezoku.exblog.jp/16225217/
宝来館
http://houraikan.jp/
Ape
http://ape-kirikiri.com/
by hirayama-kouichi | 2013-11-19 04:17 | HITORIGOTO